心不全、肺機能低下
心不全、心肺機能低下は不可逆的なものが多くその病態といかに適切に上手く付き合っていくことが大切です。心機能の低下は全身の血流量を低下させ血流の酸素濃度を低下させます。そのためリハビリにおいては、血中酸素飽和度の管理と心肺機能を体の他の機能(筋力等)でカバーすることが大切です。特に体幹の筋や下腿の筋は心肺機能の補助に大切です。また、誤嚥性肺炎で痰が多量の症例ではその影響で血中酸素飽和度が低下し生命の危機に瀕します。
心臓リハビリ
以前は心臓疾患では動かないようにすることが基本でした。しかし現在では運動療法が効果的であることがわかっています。運動は心臓の筋肉の血流を改善し3か月程度の運動は発作の抑制効果があります。また全身の筋肉量の増加は全身の血流を促し心臓の負担が減少します。
また、運動により心臓を興奮させる交感神経と相反効果の副交感神経が活性化され心臓を保護することがわかっています。
また、ストレスは心臓に重大な影響を及ぼすため、ストレス発散効果のある運動は有効です。
心臓リハビリの強度としては運動後に症状が現れないことが大切です。その様子を見つつ強度を調整していきます。禁忌事項としては呼吸を止めるような運動は避けることです。
誤嚥等で痰が多いケースのリハビリ
誤嚥等で痰が出やすくSPO₂が低下しやすいケースでは肺の痰を身体中央に持ってきて排痰をしやすくすることが大切です。そのため、臥位から左右寝返り等をしつつその姿勢で軽い運動を行います。そうすることで痰を体の中心に落としていきます。それによって自然と痰が気管へ集まってくるケースが多いです。そのうえでご本人に排痰をしてもらいます。
上半身の緊張が強く胸郭の働きが低下しているケースのリハビリ
年齢とともに全身の緊張は高くなりやすく、そうすると高まった周囲は動きが悪くなるため様々な動作に支障をきたします。胸郭周囲の緊張が高くなると肺の動きを妨げ酸素を取り込みづらくなります。人間は年齢とともに臥位<座位<立位となるにつれ緊張が高まりが若年者よりも急激に強くなります。その様なケースでは座位や立位で上体の運動をすることで座位、立位での緊張を緩めることができます。私の経験でも緊張の高い方ほど酸素飽和度に改善がみられます。